人もうけ流

 久しぶりに有田に行った時、地域づくり計画・焼きものの街振興計画づくりで親しくお会いしていた窯元に顔を出した。その時「先生はいつも“人もうけ”と言っておられましたね」と言われた。“先生”は余分だが、うれしかった。

 私の考えは、地域づくりでも、商売でも、「人とのつながりがベースだ」ということで、「人もうけをすれば食べていける」というオチコボレのライフスタイルだ。

 九州へ来た頃、1980年頃だったと思うが、福祉事業に関心を持っていたので、関西にいたころ滋賀県で知的障碍者の雇用を続けながら会社経営をしている友人もいたので、福岡市西区の辺りの障碍者が働いている施設に行った。気に入るものがあったら買うかなという気分だった。

 そこのマネージャーから、「みんな自己紹介をしましょう」と言われて、私の順番が来たので「ヒトモウケヲシヨウトオモッテキマシタ」といったら「民間人は儲けられていいなあ」と返された。私は何事も弁解しない主義なので、「この国は税金を払う人間よりは、税金で暮らす人間の方が偉いのか」と思ったが返事を返さずに、小さく笑っていた。

 松下幸之助は「税金を払うことは社会貢献だ」と思い、税金を払うことを誇りにしていた。