はやぶさ2オーストラリアの砂漠に帰ってきた。6年前から。今後11年かけて次の星へ        201206

中学1年の時だったか、次兄に天体望遠鏡のレンズセットを送ってもらった。対物レンズと接眼レンズ(レンズ2個でセット)が入っていた。蔵の中を探しまわって、手ごろな反物の筒を見つけた。厚紙を買ってきて、対物レンズのカヴァーと接眼レンズの細い筒を作って、反物の筒の内側でスライドできるようにした。早速外を見たが、天体望遠鏡なので上下が逆になっている。

夜になって星を見たがあまり変わらない。対物レンズの口径だけ光の量が違うが、60倍程度では少し明るく見えるだけだ。ところが月が出てきて、それを見ると感動した。月一面にカルデラが見えた。太陽系の惑星とほかの星とを比べてもそれほど明るく見えることもなく、月だけがよく見えて、これを友達に見せたくて、いろいろ誘ったが「月のカルデラを見て何するんだ。そんなことは知っている」と云うばかりだった。なぜ人はこんなことの興味を持たないのか不思議だった。

この不思議さは、幸島の子ザルが「麦を水に浮かべて素早く食べた」という話でも同じだった。誰も興味を示さない。

寒い雪の降り積もった中で、家の前の電柱に望遠鏡をくっつけて固定しながら、月面を見た時のことと同じだ。私も世間も70年経ったが変わらない。

幸島の子ザルのお話は(オチコボレ流ブログ、160606)所収。