コロナウイルスと住宅団地

武漢の感染者を拡散した万家宴という新年会は、「百歩亭」という団地で行われていた。その団地(社区)の規模は「9つのブロックがあり、一つのブロックには4000戸が住んでいる」とYoutubeに書かれている。写真で見ると密集具合が分かる。

 初めて中国へ行ったのは1983年だが、その時上海市の役所の都市計画関係の人たちと話し合った。お互いに日常の仕事を通して話し合っているので、通訳が話してくれている間に、数字についてはすぐにわかる。その時の上海側の居住地区に説明の通訳を聞きながら「ちょっと」と手を挙げた。なかなか勘のいい人なので「糸乘さん何か?」と聞いてくれた。「聞きながら数字を計算してみると、自慢の団地だと思うけど、人口密度が700人/haになるんですが私どもが日本で計画している団地は、とりあえず100人/haなんですよ」というと、彼は上海の報告者とやり取りを始めた。

このわれわれのチームには中国科学院(だったか?)の建設経済研究所の副所長さんも同行されていたので、計画人口密度についてかなりの中国語の会話が交わされた。終わると我が有能な通訳さんが「やっぱり、数字は間違っていないようですよ」と言った。今度は日本人の調査団の中で議論が始まった。かの国では「日照権」という概念はなかった。

その時以来、彼の国の住宅地の密度がすごいとは思っていたが、Youtubeを見ていると、今はもっとすごいようだ。

ところで、日本のタワーマンションはどうなっているのだろう。

高層タワーの場合、少なくともエレベーターは東西南北の面に、階層別のエレベーターを設置すべきだろう。例えば、8階までが東面、西面が15階までなどというように、南北面も有効に使って分散を図るべきだ。感染症対策だけでなく、火災などの場合にも有効だ。