「はばかりながらサクラかな」小学4〜6年生の頃の大激論

そのころ仲の良かったのは、カッちゃん、ヨーちゃんとサダヨッさん(私)と呼び合っていた三人だった。三人とも頭がいいとみられていたが、私以外は運動も得意だった。
「はばかりながらサクラかな」という一茶の句を見て議論していた。確かなことは分からないが戦前の講談社の絵本だったと思う。厚紙でカラー印刷されていたものだ。おそらく我が家の蔵の中から私が見つけてきたものだと思う。
この「はばかり」を、彼ら二人は「遠慮するとか、言いにくいが」という意味だというし、私は「葉ばかりで花は咲いていないが」という意味だと云って、延々と云い合っていた。
ついに彼らは「両方の意味があるのだ」と云って、妥協を図ってきた。しかし私は、腹の中ではそれを肯定していても、頑として「葉ばかり」だと言い張った。当時から偽悪趣味があったのかもしれん。