オチコボレ流・わがマネージャー修行
1) 自分の運命は世間の普通より、少し不運だと思うこと
面倒でややこしい、あまり評価されないような仕事が回ってきた。
それをやって何とか仕上げると、それを見て、一層評価を上げてくれる人もいた。
2) 普通より、少し下手な人間だと思うこと
何とかやり遂げても、ちょっと格好のつけ方が下手な人間なのだ。次はもっと工夫をして、上手くやれる。
3) 何をやっても他人より少し遅いという自覚をすること
子供のころからいつもグズ(愚図)と云われ続けて育った。
一方、テイネイシャ(丁寧者)とも言われた。グズはマイナスの、丁寧はプラスの評価。
手際が良くて、少し雑というよりも「丁寧で安心」という仕事の方が、いずれ評価が高くなる。
“ザツ(雑)”は治りにくいが、“テイネイ・のろま”は段々早くなる。
4) リーダーは先頭で引っ張るよりも、後ろからまとまりつける
命令で早く進めるよりも、みんながその気になって協力する方が、質もスピードも上がる。山岳登山の鉄則。マネージャーはシンガリ。
5) 良い思い付きや知識は、すぐにオープンにし、自分でしまい込まない
自分が考えついたり、上手いノウハウを身につけたと云っても、大したものではない。ずっと以前の、先人の工夫の組み替えにすぎないのだ。先人に対する感謝を忘れてはならない。
6) 「段取り八分・力が二分」と、18才で山仕事をしていた時に、兄貴分の晢チャン(親方=遠縁の八歳年上)によく言われた(その時は「仕事が二分」)。この時マルタン棒を担ぐだけの力仕事のように見えても、材木をトラックに積むところまでの段取りがいる。「どうしたら“より早く、より楽に”できるか」を、山の斜面で樹を切り倒す時から考える。「斜面を下すには、長さをそろえるには、担ぐには、キウマに組んでトラックのとこまで運ぶには、と全体を考えておかんと仕事にならんのですよ」と言った。全く力業が100パーセントのような山仕事の場で教えてくれた。