小保方,STAP、研究者・学者

これは騒動だ。あちこちで、特に理研自身が小保方さんの仕事にケチをつけ始めた時、「この連中は、頭がおかしい」と感じた。私は学者・研究者の世界が、ドロボウOK、コピペOKの、恥の文化がない、日本の中でも特殊な世界だと感じてきたからだ。
私の体験だが、地位の上に人が私の書いたものを丸写しにして、博士論文を出してドクターになった。私の書いたものは、都市づくりに取り組む場合の圏域形成のカテゴリー、要素、チェック手段などについて整理したものだ。博士論文すべてが私の文章ではない。論文構成上の肝になる部分10ページ余が、論理構成の概念図までも含めて丸写しだった。コピペどころではない。
私が全く知らない間にやられていたので、憮然としていたら、同僚のドクター取得者が、「糸乘さん、好かったですねえ、使ってもらえたやないですか」と云いながら近づいてきた。
私は、困っているなら「使わせてくれ」と云えばいいじゃないか。こっそりパクッテ、ドクター論文が通ったら得意顔をするとはどんな神経だろう。「この連中の世界は狂人社会やな」と感じ、できるだけ早く離れようと思った。
もう一つ九州に来てから体験があるが、これはそれほどいやではなかった。パクられたわけではなく、どちらかと云えば高く評価された体験で、いい気分だった。ちょっとコッパズカシイが、書き出しだけ引用してみよう。
「文化・科学技術の発展は、知恵の交流、世帯間の知恵の受け継ぎを通して進歩し、新しい文化・科学技術の創造は、同時代あるいは世代間を通したネットワーク〈交流及び切磋琢磨〉によってもたらされてきた。したがって、文化・科学技術の発展の基礎は、同世代間、各世代間のネットワークづくりだということができる。」
少し堅苦しく書かねばならんと思って、持って回った書き方ではあるが、「今後の地域形成にとって、現代だけではなく、昔の人の知恵も含めて交流することが大事だ。そのため、ネットワークと、各要素のコーディネートが、都市形成の肝心なところだ」と云っているだけだ。
原稿用紙にして25枚程度のものだが、ある有名教授から「あれはいいですね、引用を付ければ立派な論文になりますよ」と云われた。言外に「ドクター論文にも……」という雰囲気だった。
残念ながら、私の場合は人類みんなと云えば大げさだが、いつ誰に教えてもらったものかが分からない。本や論文を見ながら考えたり、文章を構成するという能力がないので、出典はわかりにくい。長い間に自分の頭に入ってきたり、それらを構成して組み立てたりしているので、学問とは違うわけだ。
本来学問とか新しい発見とかは、「多様性原則」に立たない限り進歩するはずがない。と言うわけで、この頃千数百年前の、わが先祖たちの神仏習合という活動を進めた、多様性と好奇心、寛容さに注目しているところだ。