ブランド牛肉の不思議3 ブランドのルーツは但馬牛

 1985-90年頃、但馬のM町の地域づくりの手伝いをしていた。そこで、「ふる里会員」を募り、地域の特産を送っていた。この企画の立案者でもあったので、私も会員になって、特産品を送ってもらっていた。年三回で15,000円だった。
 このふる里便の目玉は、第三回目の年末便に入っている「但馬牛」だった。私も食べてみると本当にいい肉だったが、気になったので「S助役さん、ほんとに高価な但馬牛の肉を入れているんですか」と確かめた。
 すぐに、「正真正銘の但馬牛ですよ。宮崎県経済連から取り寄せて送っているんですから。私は嘘を言ったりはしません」といった。
 私は「それなら間違いありませんね」いった。
 ブランドに地域名を使うのは邪道だと思う。気候とか土質などがベースとなる農産物なら合理性があるが、牛は血統が問題になっている。先ず「黒毛和種」であり、その中の85%が但馬牛の系統だとされている。宮崎産の仔牛が各地に売られていき、そこで育てられて米沢牛松阪牛、神戸牛になるということも報道されている。
 大阪の「船場吉兆」が、但馬で育てていない牛肉を「但馬牛」と偽装したとして、マスコミに叩きつぶされてしまった。かの料理長は、自分の舌で味を確かめた上で「但馬牛を宮崎で育てたのだから“但馬牛”としてよい」と考えたのだ。極めて良心的ではないか。