オチコボレ経営者の、税金・役人嫌いの弁 2

 経営を安定させて、いざというときにも、給料を払えるようにしておきたい。
27歳の時の倒産経験が、このもとになっている。
 社内留保が大きくなると、それだけ経営が安定する。本社ビルなどを持っていると、イザというときには、貸しビルにしたり、売りに出してもいい。とりあえず給料が払える。債務超過(借り入れが大幅に超過している)だと本当に疲れる。
九州で会社を引き継ぐことになった原因は、4千万円の不渡り手形であった。オチコボレというのは、他人の作った不始末でも、責任を押しつけられた時逃げられない。その理由は、オチコボレという立場からスタートした人間の、一般的評価が低いからである。つまり会社が壊れた後で、再就職がしにくいのである。だから職場を守る意識が高い。このことは最初の倒産で十分わかった。
 だからオチコボレは、常に巡ってきた場で、問題を解決し、状況を転換して行かねばならない。しかしこれも、意外に面白くやりがいがある。また人は、見ていないようでも、雰囲気のようなものを感じるようで、じわりと評価をしてくれるようになる。ずっと格好のいい立場ばかりにいた人は、オチコボレとは違って、クレーム処理が苦手だ。
 クレーム処理は、営業活動の原点で、最初京都でコンサルタントに就職したときは、クレームの一手引き受け係になった。
 いざというときに何とかなるようにしようと思って、5千万余の貯金を作って、経営をバトンタッチした。今から思うとこれは最低だった。私の日頃の考えからしても、事務所用のマンションでも買って受け継いだ方が良かったのである。そうしていれば2年余で使いつぶしてしまうなどと言うことも起こらなかっただろう。