駅伝が好きだ② 

人類が宇宙史の駅伝に参加し始めてから、モノの変化を伝える駅伝(例えばDNAなど)以外に、精神文化の駅伝も加わった。
少し計算してみよう。除夜の鐘の最後が鳴った時(新年が始まった瞬間)にビッグバンが起こったとすると、地球が生まれたとされているのは(45億年前ぐらいとして)9月初めごろだ。
12月中旬ぐらいに当たるカンブリア紀(5億年前ぐらい)に、多くの生物が生まれる。そして6〜7千万年前ぐらいに、我々に近い霊長類が生まれた。それは12月30日ぐらいに当たる。
ついで、500万年前ごろに二足歩行の猿人が生まれる。これはもう12月31日の9時ごろだ。
我々の祖先の人類がアフリカの大地溝帯で生まれたのは20万年ぐらい前で、そこの生存条件が悪くなって(乾燥など)難民化し、7万年ぐらい前に先祖たちは危険を冒して各地に広がり、アフリカから出て、ヨーロッパやアジア、アメリカ大陸へ歩みだすものも増えた。これは12月31日の11時58分頃に当たる。
簡単に言えば、我々人類が生まれてから、まだ2〜3分しかたっていない。わが日本列島の先祖が住み着いたとされているのは、11時59分30秒ぐらいになってからだ。
それにしてはずいぶん便利になったものだ。
日本人はこの短期間に、どんな発展をしたか。

138億年前のところまでの距離は、インフレーションの時から宇宙全体が膨張し続けているので、今距離を測ると470億光年になっているらしい。我々は、光でしか見ることができないから、その向こう側は見ることができていない。
いずれにしても我々人間が、駅伝でタスキをつなぐように、モノとチエを受け継いできたのは、宇宙史を1年に置き換えてみると12月31日の11時58分頃からだ。

この短期間に、莫大な遺産を受け継いできた。
それをモノに置き換えてみると、道であり、土器による鍋であり、それを使った煮炊きであり、食事のための器であり、弓矢であり、家であり、舟であり、車であり、農作物であり、工業製品などだ。
一方、チエの受け継ぎを見ると、言葉であり、火の炊き方であり、文字であり、数字であり、理論的思考法などの文明である。モノとして受け継いだものはすべてその中に入る。
一方、生きていくための多くに楽しみも再生産してきた。それは遊び・踊り・芝居であり、物語である。もちろん五感にかかわるものも駅伝でつないできたのだから、ご馳走は一番大事なものだ。