上目づかいで見るな

 親というものは、子供の私にとって最もイヤな存在だった。説教されて、こちらの言い分を云うと「口答えするな」と怒る。何も言われないので、もういいのかなと、上目遣いで様子を見ようとすると「上目遣いで見るな」といわれる。ついでに「顔を正面から見ずに上目で覗くのは根性が曲っとる証拠だ」となって、一層怒られる時間が延長される。
 上目遣いということは、長いこと思い出したことはなかったが、日本の総理大臣と中国の偉い人が会見したテレビニュースを見て、60年ぶりぐらいで思い出した。この上目遣いの人は、東北の震災で避難している人たちの所へ行ったときも、少し似た雰囲気を出していた。しかし、被災者といえども、総理大臣に向かって怒鳴るという風景はイヤな感じだった。
 いずれにしろ、上目でチラッチラッと伺いながらメモを読むようなことをせずに、正面から目を見ながら会話をするような、付き合いをしてほしい。