創造力・想像力とリスク

 むかし、極めて情報意識の高い人と机を並べていて、議論や相談などが減っていった記憶がある。考えていることを、つい口に出したりすると、別の場所ですぐのしゃべってしまうので面食らったのである。私にとってはまだ確信が持てないので、暖めているつもりなのだが、自分が書いたり喋ったりすると「○○さんが云っておられましたね」などといわれて、泥棒呼ばわりされているようなことになる。私の文章を、一字一句変えずにコピーされたドクター論文にもウンザリした。
 菅直人首相が、浜岡原発の運転休止を発表したとき、「担当大臣はいないのか」と危惧した。浜岡だけの話は担当大臣の仕事だ。それを受けて、全体の原発についての方針変更を喋るのが首相の仕事だろう。ところが原発全体は変えないのだという。この人は、とことんエエカコシイでしかないのだ。一般市民がやってもカッコイイとは云えない。
 しかし、このお方は、世論の動きに対するは判断力がある。この発表後、支持率が上がったのだから。だが、上記のように、第一弾は担当大臣に任せて、第二弾の原発全体の中期計画ぐらいを、関わった人たちの努力に触れながら発表していたら、もっと評判が上がったかも知れない。
 始めに戻ると、隣などから聞いたアイデアを、自分のことのように話すのは、なかなか良い自己顕示法だ。もし良くないことが出てきたら、自分のアイデアではなかったことにすればよいから。