“よかネット”という会社は、ネット思考・指向

 九州の会社の再建を目指すことになったが、何も手がかりはなかった。とにかく「ダメモトでネットワーク活動をやってみよう」だけで動いた。
 そのために「よかネット」という機関誌を、1000部ぐらい送ったり、持って行ったりして情報サービスに努めた。効果があったのかどうか分からないが、儲けにもならんことをよくやる連中だとは、思っていただいたようだ。御蔭で4000万円の不渡り手形からスタートしたのに、会社は続いた。
 世俗的判断で、損だと言われていることを、率先してやる「一寸馬鹿で、ウイ奴だ」と思っていただいたのではなかろうか。
 つまり、オチコボレ型の行動(人々が行う行動の枠から離れた活動)が一番有効だと思う。
 四国の遍路道を歩いていたとき、遍路宿で食事の時間になると、「どの道が楽で、分かりやすくて、早く行ける」かが話になった。結局国道の歩道がよいと言うことになる。私は、排気ガスの中で、地元の人と会うこともなく歩くのは耐えられなかった。
 四国遍路の神髄は「接待」を受けることにある。55番の南光坊を出て56番の泰山寺に向かう途中で、午後の早い頃だった。ずっと向こうから「遍路さーん」と声をかけながら、ピッカピカの一年生が走ってきてくれた。そして目の前でピヨコンと頭を下げてくれた。「有り難う、アリガト」といって手を握ってから別れた。この時のことを思うと、今でも胸が熱くなる。
 遍路は、土地柄・人柄にふれる旅である。早くとか、歩きやすいなどと言うことには関わらない。四国の土地柄・人柄にふれやすい道を歩くことである。おそらく弘法大師も、人が誰も歩いていない国道を、排気ガスにまみれながら歩くより、その土地の人たちと話が出来る道を歩いたに違いない。そこに「よかネット」がある。