始め方と終り方

どうも自分は間違っていたように思う。問題は、終わり方については何も考えていなかったことだ。
倒産会社を何とかしなけりゃならんようになった時、残ってくれていたメンバーに、一生懸命今の現実を話し、とにかくみんなで食べていけるようにしようと云い、何とか動き出すと「県庁の職員並みの給料にしよう」と云って働いた。とにかくそこまでいかないと、社長には給料が出ないものだと考えていた。
つまり、とにかく一生懸命だった。
ところが、自分が終わるときは、社長と専務に引き継いだだけだった。それまで私を助けてくれていた、ほかの社員には何も言わなかった。これは手落ちだったように思う。
こんなことを考えていて、本屋に行くと、「破綻、バイオ企業・林原の真実」林原靖著、「落ちこぼれでも成功できる、ニトリの経営戦記」大下英治著などと云った本が眼につき買ってきた。後者は「オチコボレとしてやっていく」と云う態度ではなく何とか成功しようとした話なので、オチコボレ流とかオチコボレ主義ではない。なかなか立派な方だ。
前者の「破綻」には驚いた。とにかく有名な大会社だ。ロレアルアーツ&サイエンスファウンデーション代表の河本哲三さんに言われて、福岡で「色とサイエンス・シンポジュウム」を開催する仕事をさせてもらった時にも、林原の研究所の人にも来ていただいた。いずれグループを作って遊びに行きますよと云っていたのだが。
「破綻」と云う本の話は河本さんの話ではない(それはこのブログの2010−07−26に書いている)。この本の表紙の帯に、「弁済率93%の倒産の不可思議」と書かれていたからだ。確かに不可思議と云えばいえる。普通倒産した会社と云うものは、銀行が早手回しに取れるだけ先取りしてしまうので、小さい債権者(大体が下請け)などはほとんど踏み倒されることになる。
おそらく銀行が勝手なことをやった後でも、93%の弁済と云うことは、かなり黒字だった会社を強引に倒産の追い込んだと読み取ることができる。
ところで、私が93%に注目したのは、「自分でやっていく体力に自信が持てない」と思った時「倒産すればよかったのに」と思ったことである。当時はそれこそ200%以上の儲けがあったわけで、若い人にも分配して、そこでみんなの意見を聞けばよかったのだ。「会社を続けるならみんなでやればいい。一部のメンバーだけでやるなら「よかネット」の暖簾を使って再建すればいい。みんなを信頼していたのに、一部の人に資金も暖簾も渡したので、若い人たちが怒こって辞めたのかもしれない。まことにうかつだった。