「自然死」のすすめ、中村仁一著

「中村さんが、こんな本を書いている」と思って、2月頃に『大往生』の本を買った。そうこうしていると、大ベストセラーになっていった。
実は、1993年の暮れに、中村さんの病院で『断食』をさせて貰った。その時の感想をよかネットに載せているので、いかに引用します。

  ええかげん物語 断食は自分の身体と心の交流体験
■断食体験
暮れから1月l日までの13日間、高尾病院へ入って断食をした。はじめの5日間は漸減食(1200カロリーから300カロリーまで落とす)、次の3日間が断食で、澄まし汁と糖分不足の用心のための黒砂糖30グラムが昼と夜の2回出る。 3日間が過ぎると回復食(はじめの5日間の逆)というプロセスである。
結論をいうと、断食というのは、身体に異常を体験させる中での心と身体の対話であると思った。「おいおまえさん、ハラがへってまいったか」、「うん少しはしんどいが、別に病気やないんだから、タコみたいに自分の身体喰ってるし、少しは体重もへるやろし……」、「どうだ正味の断食3日間の気分は」、「なんのなんの、今日も3時間山歩きしてきたよ……」といった調子で断食が続く。
この13日間で得たものは、「断食ってこんなことか」という気分を感じたことである。それ以降、「ちょっと屁が出すぎるな」と思えば、「一応2回食事ぬくか」 といった感じで簡単に調整に取り組むようになったことである。
あと二つ、良かったことを述べる。一つは、入院した高尾病院が実に「ええかげん」で「素人ぽい」病院だったことである。
私の感じでは、医者というものは、一般に、いかにもプロらしく、「わかっとる、わかっとる、すぐなおるよ」といった対応をするが、患者の当方も「自分の身体はオレが一番知ってるぞ」と言いたい気分がある。ところが、高尾病院はドクターもナースも実によく患者に尋ねるし、検査データのコピーを渡して丁寧に説明もする。感心したのは、思い込みで対応せずに十分検査もした上で方針を決めていくということである。
この病院は案内パンフレットに「漢法、針灸、絶食の(財)高尾病院」と書かれており、病院の玄関を入ると、煎じ薬の臭いがしている。私はアトピー性皮膚炎の心配のために断食をすることにしたのだが(入ってみて私ぐらいではものの数に入れてもらえないぐらいで、極めてひどい皮膚になっている若者男女が多かった)、3日間の断食に入る直前まで(血液検査などの確認をするまでは)、本当に断食をするかどうか決めてもらえなかった。当方としては到るところで断食を宣言して入院しているのに、断食させてもらえなかったら「かっこうがつかん」という思いで、気が気でなかった。 つまり、この病院は漢法と西洋医学をうまくドッキングさせて、なかなか「ええかげん」 に運営しているところである。
もう一つの良いことは、変なアクティビティーをやっていること。それは、断食講演、針灸講演、西式体操、アトピー問題、音楽体操、アレルギーとは、などなど。つまり患者は、「何をやられているかわからん」という不安がない。
付録としても一つ。 この間にウロウロした寺院や山などをあげておく。これらは直接歩いて行くか、少しバスに乗って入り口までいってから歩いたかで、普段より運動ができたと思っている。  よかネットno8 1994.3より
《補足》入院中の2週間は、ほとんど毎日、勿論断食の3日間も、2〜3時間歩いていた。まず行ったのは、4キロぐらい登ったところの高山寺だった。ここは明恵上人の寺であり、「夢見る人」への関心もあり、「明恵夢を見る」というような本も読んでいた。この寺にある善財童子の像が良かった。その時写真にとって、テレホンカードにし、今でも持っている。神護寺にも行った。また、3キロぐらい下ると仁和寺がある。ここは帰りが登りなので、バスの時間を見て、乗って帰ったかもしれない。
なかなか良い入院生活だった。