サッカーワールドカップ 岡田監督論

 サッカーのことは詳しいわけではないが、岡田監督については書いたことがある。1998年のW杯フランス大会のアジア予選で急遽監督に就任したとき、すべてのマスコミが叩いた。そして、カズを代表からはずしたとき、「失礼だ」等という失礼な声が上がった。その頃私は「これはやるに違いない。かなりな成績を残す」といった。その予言の原稿を以下に引用する。
 2010のW杯南ア大会は今日早朝PK戦で負けたが、またしても岡田ジャパンの株が上がった。

■ワールド・カップ・サッカーとベンチャービジネス(1998.7よかネット)
 若の花が連続優勝した時のインタビューで「仕事ですから」という言葉を2、3度発したのが非常に印象に残っている。
 サッカーのワールドカップの監督もビジネス(仕事・本務)だと思う。その監督が変わって岡田監督になったとき、これは面白いのかもしれんと思った。こんなことを書くと「オマエみたいなもんに何がわかるか」という人がいると思う。正にその通りである。
 この文章が皆様方の眼にふれる頃には終わっているのかもしれないが、この原稿を書いている今はまだ、日本は一試合もしていない。しかし「かなりやれる」のではないかと、私は思っている。その理由は、前任監督の時はベンチャービジネスではなかったが、岡田監督になってベンチャーになったと思うからだ。
 その岡田監督が、古参の有名選手をメンバーからはずした。「これはいよいよいける」と私は感じた。「彼をはずしたのは失礼だ」などという意見もでたが、それは建前ビジネスの世界である。岡田監督は「格落ち」だと言いたいのだろう。少なくとも前任者と比べるとそうだろう。しかし、これはなかなかよい条件である。
 岡田監督は、何もむずかしいことを考えずに態度をきめたのかも知れない。しかしベンチャーをやれる程度の人間は、むずかしいことを考えずに行動できるのである。
 監督はベンチャーに走った。彼のメンバー達もベンチャーをやるだろう。日本のサッカーは駆け出しであるから、ベンチャーがいい。勝負はともかく、よい試合になるだろう。
 
 追記:この文章は印象に残っている。岡田監督が登場した後のワールドカップ予選は、3勝2引き分けになった。前半は1勝1敗2引き分けで、ワールドカップ出場があきらめムードになっているのを完全に覆したのであった。私は別に岡田がダメ人間だと言っているわけではないが、少なくとも日本代表監督として優等生型の人間ではなかったと思う。
 ベンチャーというものは、そもそもレギュラー人間のやるものではない。現状に不満を持つが、優等生に扱ってもらえない人がやるものである。優等生は既成の安定コースへ行けばいい。
 「前任監督のときはベンチャーではなかったが、岡田になって(全員一丸となった)ベンチャーになった」と書いているが、ベンチャーになって努力していると運もついて来る。
 私はこの「ショボクレ」たベンチャー精神が、自分の思い出と重なって好きである。ショボクレベンチャーには運の神様がついているように思う。
 ワールドカップ出場を果たした岡田ジャパンは、残念ながら、ジャマイカクロアチア、アルゼンチンに負けてしまったが、われわれ日本人を十分に喜ばせてくれた。
 ベンチャーバンザイ!!   (2004.5 いと)

 岡田監督という人は、よくよく叩かれる人だが、最後の評価は高くなる。