「ダンケルク」②

9月25日に、もう一度見に行った。前回見て帰った後、アマゾンでダンケルクという本を買った。
この映画を見ていて困ることは、「一人でも多くの兵士を救おう」として国を挙げて協力していることが書かれていることだ。
私は前の戦争で、軍幹部、軍官僚、国の高級官僚の態度が、未だに許せないと思っている。インパール作戦でも、私の兄が行っていたラバウルでも、まともに戦う準備をせずに、多くの兵士に観念的な戦争を押しつけていた。かの高級官僚と言われる役人たちは、自分個人の格好と利益ばかり考えて、兵士のための兵糧の手当てさえ努力しなかった。インパールの何十万という戦死者がほとんど餓死と病死だったといわれている。
九州の名護屋城の跡地を一度見に行ってほしい。私は全国から200大名などを呼び寄せて、「文禄・慶長の役」を起こすための都市建設から始めている。戦争を賛美したいわけではないが、少なくとも兵士を戦争に送るためには、指揮官にはそれだけの責任がある。指揮官とは率先してリスクを取る人間のことだ。
日本人は本来、他人を見殺しにするような遺伝子は持っていない。縄文時代以来、“じねん”という大自然の心を受け継ぐ協調の精神を持っているのだ。それが今でも地震津波に時に表れて、世界中から尊敬されている。日露戦争に勝った頃の景気の良さに浮かれて狂った人間どもが太平洋戦争を起こしたのだ。
この頃、高度成長以後の人生経験しかない世代は、「指導者は率先してリスクを取る」という原則を身につけず、官僚の権限にばかりしがみついて「行政がゆがめられた」と唸って責任逃ればかりしている輩が出てきている。自分で責任を取らず、次世代の若者たちへツケを回そうとしているのだ。
ダンケルク」を見ながらこんなことばかり考えていた。すると余計に涙が出てくる。いずれ何度か見るためにDVDを買うことになるだろう。