なかにし礼、「生きる力 心でがんに克つ」

ですぐ買って読んだのだが、[たたく、切る、当てる]と云う三点セットのがん医療テレビでなかにし礼の陽子線治療でがんを治した話を、二度ほど見た。本が出たのから逃れようと思った理由が、若いころの心臓病にあると知って驚いた。
この本に書かれている、心臓の左心室が細動して(細かく動くだけで)、血液を送る役割を果たさない、という記述は、私のかかった心房細動とよく似ている。
三点セットと云うのは、「抗がん剤でたたく、切開手術をして彼の食堂を短くしてつなぐ、放射線を当てる」である。体の中を土俵にして、[たたく、切開する、放射線を当てる」と云う戦いが行われ、守るのは弱った体を持つ自分だけ、というのは恐ろしい。
結局なかにしは、自分の心臓は三点セットの治療には耐えられないと思い、別の治療法を捜し、陽子線治療に行き当たる。とにかく「言われた通りにする」と云う態度ではない、彼自身の戦いが面白い。