税負担は公平に

 27歳の頃、会社が倒産するという事態になってから、会社を変わっても、ほとんど給料を払う側に近い側で働いてきた。いつも、感覚的に従業員と気分が違って困ったのは、自我関与すべき立場についての落差であった。私の位置(立場)からすると、人件費という費目に、①本人に払う給与、②それに伴う健康保険+年金保険+雇用保険などの会社負担分、③通勤の交通費なども含まれている。よく問題にされるのは公務員などの方が「年金額が多い」ということだが、これはよく勉強をした人たちなのだからやむを得ない。
 ところが、従業員側の連中は、それぞれの従業員が払うべき所得税や②の本人負担分の「預り金」まで、会社が取り込んだような言い方をして、いつも「手取り賃金」と言っていた。天引きされると自分が負担したということの意識を持たないわけだ。
 それ以上に私が不満を持っていたのは、公務員と民間従業員の落差である。公務員は上記②のうちの本人負担分だけしか出していない。事業者負担分は、民間の会社や従業員が支払った税金から出ている。つまり公務員は、保険料などの1/2を天引きされるだけだ。一方民間人は、保険料などの1/2を天引きとして、事業者負担部分は会社の人件費として、さらに役所側が負担する1/2部分の税負担も受け持つ。
 これらを比率として数字に置きなおすと、公務員は50の本人からの天引きのみ、一方民間は50を会社から天引きされ、さらに会社は収入の内の従業員に払うべき部分から50、そのうえ役所が負担する50の民間からの税負担がある。
 税を消費税だけにして、保険料を100%本人負担ににすると、この不公平はなくなる。