松浦のアジフライの想い出が二つあります

一つは1990年代だったか2000年頃だったか、平戸や松浦に通っていた。その時、時間的ゆとりもなかったので、唐津をすぎて台地に上がったあたりで、左側(丘側)に喫茶店があって、「 何処も別に旨いところがあるわけでもないし」という気分でそこに入って、一応ポピュラーなアジフライ定食を頼んだ。

ところが、一口食べてびっくりした。フライの揚げ具合と言い、コロモの適量感覚と言い、抜群の旨さだった。相棒とうなづき合って「これは当たったね」と云った。こうなると次から松浦方面の仕事が楽しみになる。必ずこの店に入った。ところが3~4回行った頃にお店が無くなってしまっていた。その経験があったので、なんとかもう一度「松浦のアジフライ」を食べたいと思っていた。

もう一つの体験は、松浦市からいただいているメールでアジフライの宣伝があったので、去年の5月に、人を誘うには確証がないとダメなので、一人で出かけた。「少し酒も飲むかもしれん」と思って前原駅辺りの駐車場へクルマを置いて、延々と電車で行った。たどり着いて、大変な期待をしてアジフライとアジの刺身とビールを頼んだ。

喜び勇んでアジフライを一口食べた途端に「こりゃダメだ」と思った。フライになっていない。もちろんアジの立派な大きさの、パン粉をまぶしたフライのような形のものではある。フライと云うものは「アブラ切れが良くない」のはダメだ。口に当たった時に「ベトッ」とすると「もうだめだ」。フライにして口当たりがよくて、「カリッ」としたものでないと悲しい。これだけ大きいアジのフライの調理方法は、どれくらい研究していたのか。

まる一日かけて、クルマで行くより、かなり高い交通費(この路線の電車賃は高い)をかけて行ってガッカリだった。

わたしは、魚の内で一番うまい刺身はサバだと思っている。ところがブランドだと云って威張りだすとひどくなる。福岡の仲間と十余人で「関サバ」を食べに行ったことがあるが、鹿児島の卸売市場の横にある「市場食堂」のクビオレサバの方が上だった。そのうえ、値段が何倍も違う。大分で出されたサバは「関サバというもの」程度で、歯ごたえも頼りなく、旨い鯖ではなかった。

最近近くのスーパーで「鯖ちくわ」と云うものが出ていた。結構うまい。